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ダイバーシティ&インクルージョンの用語集

ダイバーシティ&インクルージョンの用語集

背景と目的

現代社会において、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)は、個人や組織、そして社会全体の持続可能な成長に不可欠な要素となっています。性別、人種、年齢、宗教、文化、障害、性的指向、価値観など、多様な背景や特性を持つ人々が共に生きる社会を築くためには、これらの違いを受け入れ、尊重し、それを力に変える視点が重要です。この「ダイバーシティ&インクルージョン 用語集」は、D&Iを推進するために必要な基本概念や専門用語を包括的にまとめたものです。ビジネスの現場、教育、地域社会の活動など、さまざまな領域で活用できるよう、各用語には具体例や実践例も付加しています。

A 行
アクセシビリティ (Accessibility)

【説明】全ての人がサービス、施設、情報に平等にアクセスできる状態。物理的なバリアフリー、デジタル技術の利用、教育や医療へのアクセスも含む。
【具体例】車椅子対応のエレベーター、字幕付き動画、点字メニュー。
【実践例】アクセシビリティ基準(WCAG)を遵守し、製品やサービスを設計する。

アクティブ・インクルージョン (Active Inclusion)

【説明】受動的に多様性を受け入れるのではなく、積極的に包摂を進める行動や姿勢。
【具体例】マイノリティの声を聞き入れる会議の場を設ける、積極的な支援制度を導入する。
【実践例】インクルージョンに関する社内研修を実施。

アダプティブ・リーダーシップ (Adaptive Leadership)

【説明】急激な変化や不確実性に対応し、個々の能力を引き出しつつ組織目標を達成するリーダーシップスタイル。
【具体例】多国籍チームで文化的な誤解を解消しながらプロジェクトを推進する。
【実践例】異文化マネジメントスキルの向上を目指すワークショップを開催。

アファーマティブ・アクション (Affirmative Action)

【説明】歴史的に不平等な扱いを受けてきたグループに対して、公平性を確保するための積極的な措置や政策。
【具体例】企業が管理職ポジションの30%を女性とする目標を設定する。
【実践例】奨学金プログラムやインターンシップを特定のグループに提供する。

アライ (Ally)

【説明】マイノリティの権利や平等を支持する人。差別を見過ごさず、具体的な行動で支援を示す。
【具体例】職場でLGBTQ+の同僚をサポートし、差別的な発言を否定する。
【実践例】アライとしての振る舞いを学ぶためのワークショップを実施。

B 行
ブラインド・リクルーティング (Blind Recruiting)

【説明】候補者の個人情報(性別、年齢、学歴、写真など)を伏せて採用選考を行い、無意識の偏見を排除する方法。
【具体例】匿名化された履歴書を使用し、スキルや経験に基づいて評価する。
【実践例】AIによる客観的な候補者選考プロセスの導入。

バイナリー思考 (Binary Thinking)

【説明】「男性か女性」「正しいか間違い」など、二者択一で物事を捉える考え方。多様性の視点では、性別や価値観のスペクトラムを理解する必要がある。
【具体例】ジェンダーニュートラルな視点を持つことで、「男性か女性か」という枠組みを超えたアプローチが可能になる。

C 行
カルチュラル・インテリジェンス (Cultural Intelligence, CQ)

【説明】異文化環境で効果的に行動する能力。文化的な違いを理解し、それに応じて柔軟に対応するスキルを指す。
【具体例】海外出張中に現地のビジネス慣習を尊重しながら交渉を進める。
【実践例】異文化トレーニングや語学研修の実施。

コンシャス・バイアス (Conscious Bias)

【説明】明確に意識されている偏見や先入観。これを認識し、改善することが重要。
【具体例】「若い世代は経験が浅い」といった思い込みを改めるため、実績を基に評価する。
【実践例】リーダーや管理職向けのバイアス認識トレーニング。

D 行
ダイバーシティ (Diversity)

【説明】人々の違いそのもの。性別、人種、年齢、性的指向、障害、宗教、文化などが含まれる。
【具体例】企業が異なるバックグラウンドを持つ人材を積極的に雇用し、イノベーションを促進する。
【実践例】採用ポリシーに多様性を組み込む、従業員研修でD&Iをテーマにした教育を行う。

デジタル・アクセシビリティ (Digital Accessibility)

【説明】全ての人がデジタル製品やサービスに平等にアクセスできる状態。障害者や高齢者にとって利用可能なデザインが求められる。
【具体例】音声読み上げ機能を搭載したウェブサイト、視覚障害者向けの画面読み取りソフト。
【実践例】ウェブアクセシビリティ基準(WCAG)に基づくウェブサイト設計。

ダイバーシティ・クオータ (Diversity Quota)

【説明】特定のグループ(女性、マイノリティなど)の比率を組織で確保するための数値目標。
【具体例】取締役会の30%以上を女性で構成するという企業方針。
【実践例】採用や昇進におけるクオータ制度を導入する。

E 行
エクイティ (Equity)

【説明】個々の状況に応じた支援を行い、公平な機会を提供すること。
【具体例】障害を持つ従業員に特別な機器や柔軟な勤務スケジュールを提供する。
【実践例】評価制度の見直しや、エクイティの観点を盛り込んだポリシー設計。

エンゲージメント (Engagement)

【説明】組織やコミュニティにおいて、メンバーが積極的に関与し、貢献する意欲。D&Iでは多様な人々が自分の役割を果たせる環境づくりが重要。
【具体例】社員の声を反映した職場改善。
【実践例】意見交換会やフィードバック文化を促進。

エンパワーメント (Empowerment)

【説明】個人やグループが、自らの力で問題を解決し、意思決定を行う能力を高める支援。
【具体例】地域社会で女性のリーダーシップ育成プログラムを提供する。
【実践例】キャリア支援プログラムの設計、社内での自主性を促進する仕組みづくり。

F 行
フェミニズム (Feminism)

【説明】ジェンダー平等を目指し、社会的、政治的、経済的な平等を推進する運動や思想。
【具体例】職場での性別賃金格差をなくす取り組み。
【実践例】性差別を無くすためのポリシーや社内教育の実施。

G 行
ジェンダー・ダイバーシティ (Gender Diversity)

【説明】職場や社会における性別の多様性を尊重し、平等な機会を提供すること。男性、女性、ノンバイナリーなど全ての性自認が含まれる。
【具体例】企業が女性リーダーの割合を増やすために積極的な採用や育成プログラムを実施する。
【実践例】ジェンダーに基づく賃金格差をなくすための給与調査を定期的に実施。

グラスシーリング (Glass Ceiling)

【説明】女性やマイノリティが組織内で一定以上のポジションに昇進できない見えない障壁。
【具体例】企業内での管理職に女性が極端に少ない現象。
【実践例】管理職候補として女性を積極的に育成するプログラムを導入。

グラスクリフ (Glass Cliff)

【説明】女性やマイノリティがリーダーに選ばれる際、不安定で困難な状況に置かれる傾向。
【具体例】業績が悪化している企業で女性がCEOに任命され、その後責任を負わされる。
【実践例】安定した環境で多様なリーダーが活躍できるように支援を提供。

H 行
ハラスメント (Harassment)

【説明】職場や社会における不適切な言動や行動。セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、モラルハラスメントなどが含まれる。
【具体例】職場で性的な冗談を繰り返す行為。
【実践例】ハラスメント防止のための教育プログラムを実施し、被害者支援の仕組みを整備。

ヒューマンライツ (Human Rights)

【説明】全ての人が持つ基本的人権。差別のない社会を実現するための基盤となる概念。
【具体例】移民や難民が人権を尊重される状況を確保する。
【実践例】企業での人権デューデリジェンスの導入。

I
インターセクショナリティ (Intersectionality)

【説明】複数の差別や抑圧(性別、人種、階級など)が交差する状況を分析する概念。
【具体例】低所得の黒人女性が経験する多重の社会的不利。
【実践例】政策やプログラム設計時に、性別や人種がもたらす複合的な影響を考慮する。

L 行
LGBTQ+

【説明】レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニング、その他多様な性的指向や性自認を表す総称。
【具体例】同性婚を支持する企業のキャンペーン。
【実践例】職場でのLGBTQ+フレンドリーなポリシーの導入。

M 行
マイクロアグレッション (Microaggression)

【説明】無意識に行われる軽視的、侮辱的な発言や行動。差別的意図がなくとも、相手に傷を与えることがある。
【具体例】「英語が上手ですね」と外国人に言うことで、その人の能力を軽視してしまう。
【実践例】社員が無意識の偏見に気づくためのトレーニングを導入。

メンターシップ (Mentorship)

【説明】経験豊富な人が他者の成長を支援する関係。特に女性やマイノリティのキャリア形成で重要。
【具体例】若手社員がリーダー層から直接アドバイスを受ける。
【実践例】メンターとメンティーを結びつけるプログラムの設計。

R 行
レジリエンス (Resilience)

【説明】困難に直面しても立ち直り、成長する力。特にマイノリティが直面する逆境で重要。
【具体例】差別的な経験を乗り越えてリーダーとして成功する。
【実践例】社員が困難を乗り越える力を育むためのメンタリングプログラムを提供。

リバース・メンターシップ (Reverse Mentorship)

【説明】若手社員が年上の管理職に対して、新しい知識やスキルを教える関係。世代間の相互理解を促進。
【具体例】デジタルネイティブ世代がシニアリーダーにSNS戦略を教える。
【実践例】多世代交流を目的とした社内プログラムを作成。

S 行
ソーシャル・インクルージョン (Social Inclusion)

【説明】全ての人が社会の一員として尊重され、排除されることなく活動に参加できる状態。
【具体例】障害を持つ人が地域社会の活動に積極的に参加する。
【実践例】地域コミュニティでのアクセシビリティ向上プロジェクト。

T 行
トランスジェンダー (Transgender)

【説明】生まれたときに割り当てられた性別とは異なる性自認を持つ人。
【具体例】性別適合手術を受けた後の職場復帰を支援するプログラム。
【実践例】性自認に基づいたトイレや更衣室の利用を可能にするポリシー。

W 行
ウェルビーイング (Well-Being)

【説明】身体的、精神的、社会的に良好な状態。D&Iでは、すべての人が自分らしく過ごせる環境を目指す。
【具体例】社員のストレス管理やメンタルヘルス支援。
【実践例】柔軟な働き方を可能にするワークライフバランス推進。

Z 行
ゼロトレランス (Zero Tolerance)

【説明】差別やハラスメントに対して一切の容認をしない姿勢やポリシー。
【具体例】職場でのセクハラ行為が発覚した場合、即座に適切な処罰を行う。
【実践例】ゼロトレランス方針を全社員に明文化し、研修を通じて周知する。

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